<コラム20> 2014.4
尾崎 かほる
30年以上前、大学でカウンセラーとなったばかりの私に最初に任された仕事は、学生との夏合宿(エンカウンター・グループ:EG)の準備でした。合宿本番では全体会のファシリテーターもやるように言われ、必死に務めたことを思い出します。それから20年、毎年夏と春には合宿を企画・実施し、私にとって学生とのEGは、カウンセリング面接と同じ重みをもつ仕事でした。申込者が多くてキャンセル待ちになることや、20名以上の学生が参加して3グループに分かれて行ったりしたこともありました。
他の多くの大学と同様にいつの間にか参加者が集まらなくなり、合宿の企画をやめてから10年以上になります。現在は、「ティーアワー」や「キャリア探求セミナー」などの単発的なグループを企画していますが、学生の参加は多くはないのが現状です。他者との関わりに積極的で真摯な学生たちと語り合った合宿での日々を、懐かしく思い出します。
対面以外にもコミュニケーション手段が増え、最近の学生はスマートフォンのメールやLINEなどで友人と頻繁にやりとりしていて、以前より手軽で迅速に文字で友人とコミュニケーションをとることができるようになっています。しかし、学科や学年の垣根を越えて人とつき合う機会が少なくなっていて、同質の人間関係の中だけで学生生活を送っている学生が多いように見受けられます。
そのせいか、社会に出てから職場の人間関係に悩む若者が増えているような気がします。学生時代に、自分とは異質で多様な人間と対面でふれ合う場をもっと経験してほしいものです。異質な他者と出会う場の一つとして人間関係研究会のワークショップを知ってもらい、関心をもった学生や院生にもっと参加してもらえたらよいな、と願っています。
この3月に実施した「軽井沢EG」では、学生や院生の参加が中年以上のメンバーや私たちスタッフにも良い刺激になりました。“老若男女、異質で多様な人間が集い、メンバーの息づかいを感じながら語り合えるEGは、やはりいいな”、と感じられた3日間でした。