<コラム24> 2017.3
都能美智代
今年1月に名古屋で開催された人間関係研究会ミーティングの2日目、高松里さんが、自分も一緒にスタッフとして参加している沖縄スロー・エンカウンターグループ(以下「SEG」という)を取り上げて話し合っていた時だった。突然、大築明生さんに「都能さんは、ベーシック・エンカウンターグループと沖縄SEGどっちもやってるんだよね。どっちが好きですか?」と質問された。
戸惑いながら自分は、「う~ん、どっちも好きですね。ベーシックももちろん自分を育ててくれ、そこで関わったことや出会った人達との繋がりが私自身を豊かにしてくれて、とても大事な時間だったし、今も大事にしているつもりです。一方で、スローでのセッションの少ないやり方も好きです。一緒に過ごす4日間の何気ない会話や行動が、緩く無理のない形で自然や人や自分と関われる気がしている。そこでは生活の中での何気無い会話や関わりが、とても大事であることを改めて教わった気がしています。」正確ではないが、こんな風なことを話した。
それから暫くして、言い忘れたことに気付いた。SEGのセッションは、朝と夕方の2回と少なく、後の時間はなるべく自分のしたいことをするというやり方を取っている。このグループをやり始めた当初、自分はこのやり方に戸惑っていたということを思い出した。こんなに話さないで何をしているのだろう?これはエンカウンターグループと言えるのだろうか?と。この戸惑いは、以前大学生対象にした全て構成するやり方に戸惑った時の感覚と同じだった。そして一方で、いずれのグループも手応えを強く感じたのだった。
このやり方にしっくり感じ始めたのはいつの頃からだろうか?いつもそこでは、自分は今どんな感じでいるのか?と問われる。誰かに問い詰められることはないけれど、何気に緩く問いかけられる。沖縄のむっとした暑さの中、ゆっくりと過ごしながら感じ、思い、考える。
昔誰かに教えてもらった。エンカウンターグループは、交差点みたいなものだと。交差点で、休憩をしたり、自分の背負った荷物を一度下ろしてみたり、広げてみたり、荷物を入れたり捨てたり、整理し直してみたり、交差点を歩いている・立ち止まっている人の姿を見たり、風景を見たり感じるものだと。SEGと名付けたこのグループもまた同じ感じがある。より自分のやり方、ペースを守りながら交差点にいる感じがしている。
ゆっくりとだが、エンカウンターグループで学んだ精神や価値観を大事に貫いたらどんなやり方でもどんな名前でもいいと心から思えるようになっている自分がいる。そのことをより深く考え感じた今年のミーティングであった。